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中古戸建てを買ってリノベーション

後悔しない中古戸建てリノベーション!費用などの注意点と賢い進め方を紹介

多くの人があこがれる「新築一戸建て」ですが、いざ計画を立てると費用や立地条件など諸条件があり、諦めてしまいそうになります。

しかし、そんな方々にご検討いただきたいのが、「中古戸建てを買ってリノベーション」という選択肢です。
新築と比較したとき何かとメリットが多く、夢のマイホームも現実のものとして捉えることができます。

そこで今回は中古戸建てを買ってリノベーションをする魅力や注意点、埼玉での実例をご紹介しています。
これからマイホームの夢を実現したいと思われるなら、ぜひご一読されることをおすすめします。

中古戸建て購入+リノベーションの3つのケース

実際に中古戸建てを買ってリノベーションする場合、どんなケースが考えられるでしょうか。想定できるスタイルの一部をご紹介しましょう。

子育てファミリーのケース

子供の成長を見越して、新しい住まいを持ちたい。そう考えたとき、有効な選択肢の一つになります。注文住宅のような空間づくりができることから、ご家族のスタイルに合わせたプランにできるのも魅力といえます。子育てしやすい家にリノベーションするときは、いくつかのアイデアがあります。例えば、「子供とのコミュニケーションがとりやすいよう対面キッチンにする」「子供の成長を見すえて、可動式の間仕切り壁などで部屋を区切る」「子供がいることでモノが増えがちなので、収納スペースを増やしておく」等があげられます。

ご夫婦二人暮らしのケース

「夫婦二人で仲良く暮らしたい」「趣味・趣向を活かした住空間にしたい」。中古戸建てを買ってリノベーションなら、そんなご夫婦の思いを叶えることが可能です。例えば共働きのご夫婦の場合、お互いの仕事環境によっては生活の時間帯が異なることも考えられます。そこで夫婦それぞれの個室を設けることも一つの方法です。お互いの生活ペースを乱さずに済むだけでなく、リモートワークにも有効といえます。

セカンドライフを迎えるシニアのケース

子供が独立したり、定年を迎えたりといった生活が大きく変わる機会に、シニア層の方々が検討されるケースです。年齢的なこともあり、コンパクトな生活動線が描け、回遊性のある間取りにするのがおすすめです。また「趣味に没頭できる部屋が欲しい」「一人でくつろぎたい」といったケースも想定し、それぞれの個室を設けるのも方法の一つです。ただし、完全に孤立するのではなく、個室をLDKと引き戸で仕切るなど、お互いの気配を感じられるように配慮することも必要です。

中古戸建て購入+リノベーションのメリットは?

次に、中古の戸建てをリノベーションすることで、どのようなメリットがあるのか解説しましょう。

新築よりも工事費用を抑えられる

中古物件を改修するリノベーションなら、新築よりも費用が抑えられます。
物件取得費用と工事費用を考えると、築年数やエリア、建物の状況にもよりますが、新築と比べてだいたい4~5割の費用で済ませることも不可能ではありません。

仮に新築にしたいと思っても、ある一定の金額(2,000万円以上)でないと計画ができない側面があります。
しかし、リノベーションなら施工会社から、資金計画や予算に合わせた様々なプランの提案が期待できます。

物件の数が多く、選択肢が広くなる

駅近や人気エリアなどの好立地に住みたいと考えた場合、「土地が見つからない」「新築分譲がない」などのケースがあります。もし見つけたとしても、高額であったり、イメージではない物件内容や設備だったりすることが多々あります。

その点、中古住宅を購入して改修するリノベーションなら、場所によっては新築に比べて物件数が多い傾向にあり、物件内容とエリアの選択肢が広がります。

上のグラフは2021年の首都圏の戸建て住宅における「新築と中古それぞれの登録物件数の差」を表しています。物件数の差は、中古は新築の約1.2倍にも上ります。

思い描いたデザインにできる

リノベーションには、「フルスケルトン・リノベーション」と呼ばれる改修手段があります。

これは構造躯体(梁、柱、土台、基礎)だけを残し、屋根や外壁、間仕切り壁や内装、設備などをすべて解体し、建物を骨組みだけにする改修方法です。そうすることで自由な間取りにできるだけでなく、内装デザインや設備、水回りの場所もまるごと変えられます。

まとめてローンを組むことができる

「物件購入費用+リノベーション費用」を組み合わせた「一体型ローン」の借り入れが可能です。

しかも一体型ローンなら、単体のリフォームローンに比べて、「金利が低い」「長期(最大35年)で借りられる」「月々の返済額が抑えられる」などのメリットがあります。
さらに、諸条件を満たせば「住宅ローン減税」の対象になる場合もあり、できるだけ費用を抑えたいのであれば活用したいところです。

なお、一体型ローンを視野に入れるのであれば、資金相談もできる施工会社に相談されることをおすすめします。

中古戸建て購入+リノベーションの注意点は?

中古の戸建てをリノベーションすることには、さまざまなメリットがあります。その一方で、気を付けたいことがあります。そこで主な注意点について解説します。

逆に費用がかかってしまうケースもある

上記では「新築よりも工事費用が抑えられる」と解説しましたが例外もあります。それは築年数の古い物件です。
上のグラフは、リフォーム・リノベーションを実施した方の「物件の築年数ごとの検討時の予算費用と実際にかかったリフォーム費用」を表しています。
築年数ごとに予算や費用の分布をみると、築年数が長くなるほど、実際にかかったリフォーム・リノベーション費用は高額になっている傾向にあります。特に、「30年以上」の物件は、実際にかかった費用が408.2万円と最も高く、検討時と実施時の差も100万円以上と最も大きく開いてしまっていることがわかります。

建物が古くなるほど構造躯体(梁、柱、土台、基礎)が傷んでいたり、断熱材が入っていなかったり、場合によっては新耐震基準に適合していない可能性が高くなるのですが、これらの構造躯体は見た目では判断できず、解体しないとわからない部分です。
解体して問題が見つかれば、補強工事や断熱工事などが必要となり、そのぶん予定外の費用がかさんでしまうというわけです。地盤が悪く家が傾いているなどの場合も然りです。

結果的に「新築のほうが良かった」では済まされませんので、物件探しはプロのアドバイスとともに行うのがおすすめです。

建物構造などにより、変更できないケースがある

何よりも事前に建物の状況を知る必要があります。それは、間取り変更が難しいケース、法規上の制限があるケースなどがあるからです。

いずれにせよ、住宅診断士(ホームインスペクター)や耐震診断など、専門家に必ず診断および判断をしてもらい、施工を進めましょう

構造上、変更が厳しいケース

木造軸組工法であれば、柱で支える構造のため、壁を壊しての間取り変更が可能です。
しかし、プレハブ工法・ツーバイフォー工法の場合は要注意です。

ツーバイフォー工法は、角材と合板を組み合わせて面で建物を支えます。プレハブ工法は、工場で生産された壁や床、天井を組み立てる工法です。
いずれも構造上、壊せない壁があるため、大幅な間取り変更が難しくなります

増築に制限があるケース

リノベーションだけでなく、「増築もしたい」ときは要注意です。
建築基準法上、建ぺい率・容積率は用途地域によって「何%まで」と決まっています。その決められた範囲を超えて、増築することができないことを知っておきましょう。
※建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積の割合のこと。容積率とは、敷地面積に対する延床面積の割合です。

建材に制限があるケース

購入する戸建てが防火地域・準防火地域にあった場合、使用できる建材に制約があります。外装を一新する場合や、玄関扉や窓サッシを変えたい場合には、燃えやすい建材を使うことができません
※市街地での火災を防ぐため、火に強い建物(鉄筋コンクリート造など)にするよう定められた地域のこと。

解体しないとわからないリスクがある

柱の傾斜があったり、給水や排水管が思った以上に老朽化していたりなど、住まいを解体することで見つかる問題があります。

もし、建物の老朽が想定以上に進んでいたら、追加で補強工事をする可能性があります。また、シロアリやカビが発生していた場合、耐震や換気、断熱など住宅の性能を高める工事も必要になります。
そうした問題が発生した場合には追加費用がかかったり、希望していた間取りに変更できなかったりすることも考えられます。

この点においても専門知識・技能を有する住宅診断士(ホームインスペクター)や耐震診断士・設計士にお願いして、事前に建物診断してもらうことをおすすめします。

業者によっては対応が難しいこともある

改修工事ができれば、どこの施工店を選んでもいいのではないかと思いがちです。
実は業者によっては、新築はできてもリノベーションの実績が少ない、または設備機器を交換するなどリフォームしか施工したことがないという会社があります。

リノベーションをする場合、新築を建てるより複雑なケースが多く、専門の知識や経験、ノウハウが求められます。さらに中古戸建てのリノベーションをするだけに、物件探しや建物診断、資金計画の支援なども視野に入れる必要があります。

依頼するのであれば、リノベーションの実績があり、ワンストップで発注ができる施工会社が理想でしょう。

中古戸建てリノベーションの3つの事例

次に紹介するのは、埼玉県における中古戸建てのリノベーション事例です。具体的なイメージづくりにお役立てください。

古きを生かしながら、家族が自然に過ごせる家

古きを生かしながら、家族が自然に過ごせる家01
古きを生かしながら、家族が自然に過ごせる家02
古きを生かしながら、家族が自然に過ごせる家03

築35年の「中古戸建てを買ってリノベーション」の施工事例です。
「以前の家の歴史を残したい」という希望に沿い、耐震のために太くしたスギ梁を空間のアクセントにしたり、2階はあえて既存柱が見える真壁を採用したりなど、古い部分を生かしながら家族が自然体で過ごせる空間に仕上げています。

プロダクトデザイナーのオーナーがつくった子供と遊ぶ家

プロダクトデザイナーのオーナーがつくった子供と遊ぶ家01
プロダクトデザイナーのオーナーがつくった子供と遊ぶ家02
プロダクトデザイナーのオーナーがつくった子供と遊ぶ家03

築30年の「中古戸建てを買ってリノベーション」の施工事例です。12帖の広々とした2階バルコニーが物件購入の決め手でした。

そのバルコニーを活かすため、メインのLDKを1階から2階へ大胆に間取り変更。バルコニーから光が射し込む、20.4帖の広く開放的な空間に生まれ変わりました。

サンルームのあるポカポカ心地よいLDK

サンルームのあるポカポカ心地よいLDK01
サンルームのあるポカポカ心地よいLDK02
サンルームのあるポカポカ心地よいLDK03

築27年の中古戸建てを買ってリノベーションの事例です。
約50坪の中古物件を購入し、外構を含めてリノベーションしました。無垢材のフローリングを使った広いLDKづくりと使い勝手の良い対面キッチンが主要コンセプトです。

キッチン室内にはワインセラーが設置できる空間計画。バルコニーのないお宅だったため、1階和室の腰窓を掃き出し窓に変えてサンルームを増設しました。屋根外壁の塗装と耐震補強工事も行い、住宅の基本性能もアップしています。

中古戸建てリノベーションの進め方は?

中古戸建てリノベーションに興味が高まったら、どのような工程で進むのかを知っておきましょう。各工程でのポイントも解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

相談

どんな中古戸建てリノベーションをしたいのか、この時点ではアバウトでもいいので施工会社に伝えます。施工会社の施工事例を見ながらであれば、戸建てのイメージと費用を具体的にしやすくなります。

物件探し

中古戸建てリノベーションをする物件を選びます。物件は不動産のプロに紹介してもらうのが安心です。
築年数や立地など、あなたのお気に入りの中古物件が見つかるまで、じっくり探しましょう。

住宅診断

選んだ中古物件で、希望する暮らしや間取りが実現可能か、プロに住宅診断をしてもらいましょう。
床下や小屋裏をチェックして耐震性に問題がないか、専門家にくまなく検査してもらうことで、どのような補強をすればいいかがわかります。

プラン・申込み

住宅診断をした後、ヒアリングや要望などを反映したプランが施工会社からの提案となります。このとき、不動産購入~リフォームまでのトータル費用の概算見積りやスケジュールなども提出されます。
要望と費用のバランスを見ながら、納得いくまで話しあいましょう。

仕様決定

中古戸建てリノベーションの大まかな内容が決まったら、次は素材・設備のメーカー・グレードなど詳細な話になります。同時に、詳細な見積りをもらうことをお忘れなく。

工事請負契約・不動産契約

間取り、仕様設備の詳細な打ち合わせを重ね、最終プランができあがれば、中古戸建てリノベーションの工事の請負契約を締結することになります。
なお、仮住まいや引越しなどのサポートもできるのか確認しておくと良いでしょう。

着工

工程表と設計図面に基づき、中古戸建てリノベーションの工事がスタートします。
着工前は、必ず現場確認をすること。施工がはじまったら、施工会社から工事の進捗や中古戸建てリノベーションの現場状況の報告があるので、その都度確かめましょう。

工事完了

中古戸建てリノベーション工事が完了したら、施主の立ち会いのもと完了検査を行い、仕上がりを確認することになります。
設備の使い方やお手入れの方法などの説明があるので、しっかりと聞いておきましょう。

保証書発行/引き渡し

中古戸建てリノベーションの工事完了検査をクリアすれば、保証書が発行され、引き渡しとなります。

アフターメンテナンス

中古戸建てリノベーションの工事が終った後は、施工会社の定期点検、アフターメンテナンスは欠かせません。
なお、定期点検やアフターメンテナンスは、施工会社によって内容が違います。詳細については、必ず確認しておきましょう。

まとめ

今回は中古戸建てを買ってリノベーションについて、さまざまな角度からご紹介しました。
新築と比べ、いろんなメリットがありますが、注意すべき点も多々あります。
特に中古戸建てをベースにすることから、物件をしっかりと見極めるだけでなく、的確な修繕をするための高度な技術を投入する必要もあります。

そう考えた場合、ご自身でどんなに知識・情報を集めたとしても限界があります。中古戸建てを買ってリノベーションを検討されるのであれば、まずはプロに相談されることをおすすめします。
相談する際は、物件探しから建物診断、プランニング、アフターフォローまでトータルでリノベーションができる施工店を選びたいものです。

【監修スタッフ】

無垢スタイルのリノベリフォーム 菊地純

増改築相談員 / 耐震技術認定者 / 外壁診断士 / 既存住宅アドバイザー / 福祉住環境コーディネーター2級 / LIXIL 窓マイスター / 雨漏り診断士

一戸建て、マンション、店舗などリノベーション専門の建築家とコンサルタントと一緒にデザインとコストを意識しながら理想の暮らしを実現していきます。また、中古住宅を購入してリノベーションでは、中古住宅探しからお手伝いをさせていただきます。このスタッフのブログを見る

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