#09

後悔・失敗しないためのリノベーションのポイント

リノベーションで後悔しないためのポイントや失敗例を紹介!

何かとメリットの多いリノベーションですが、手を加えてしまってからでは後戻りができません
しかも安くはない買い物なだけに、後悔や失敗なく進めたいものです。

そこで今回は、リノベーションにおけるよくある失敗例と後悔しないためのポイントをご紹介します。
費用や物件探し、施工会社、間取りなど各項目に分けて解説しているので、これから進めるリノベーションのヒントにしてみてください。

リノベーション費用でよくある3つの失敗例

リノベーションでよくある失敗の一つに、契約後に大幅に予算を超えてしまうケースがあります。
その原因としては、間取りをガラリと変えるなど改修の規模によるものとは限りません。

上のグラフは、リフォーム・リノベーションを実施した方で「実際にかかった費用が予算を上回った」と回答した方の「予算を上回った理由」を表しています。一つずつ見ていきましょう。

予定よりリフォーム箇所が増えた

まず、予算を上回った理由として最も多かったのは「予定よりリフォーム箇所が増えた」です。52.5%と全体の半数以上を占めています。

例えばご家族のライフスタイルやご要望の確認など、意志疎通が不十分なままに進めたことで、引き返せない状況に陥ってしまったケース、相場観を知らずに追加オプションが多くなったケースで起こります。
キッチンやトイレなどの部分的な空間だけリフォームすればよいと思っていたものが、他の箇所のリフォームも併せて必須だったり、話を進めているうちに他の箇所も気になってきたり…といったことがよくあります。

設備を当初よりグレードアップした

次点で、「設備を当初よりグレードアップした」が43.4%を占めています。
例えばキッチンの場合、一般的なシステムキッチンと比べ、オーダーメイドキッチンの方が高額になる傾向にあります。当然のことながら他の住宅設備でも同様のことが言えます。

またクロスや建具なども、グレードによって金額が『ピンキリ』です。相場観を持たずに要望を増やすことで金額がふくれあがっていきます。
こうした一つ一つの積み重ねが結果的に大きな金額となり、トータルで見たときに予算オーバーとなる訳です。

想定外の補修工事が必要となった

予算オーバーの理由として、もう一つあげられる大きなものが「想定外の修繕」です。グラフ中では28.3%を占めています。
表面的に良さそうにみえる物件も、リノベーション工事を進めたら思わぬ不具合や欠陥が見つかることがよくあります。
中古の戸建てであれば、柱の傾斜があったり、給排水管が思った以上に老朽化していたり、住まいを解体することで見つかる「事前調査の質」の問題もあります。

もし、建物の老朽化が想定以上に進んでいたら、追加で補強工事をする必要があります。
また、シロアリや結露や湿気からのカビが発生していた場合、結果的に構造に関わる耐震工事や、内部結露などの見えない部分で欠損した住宅の性能を高める工事も必要になります。
そのようなケースに陥った結果、費用面で大きな負担となります。

リノベーション費用で後悔しないポイントは?

上記でご紹介した費用面での失敗は、以下の2つのポイントを押さえることで対処ができます。

優先順位を決めておく

すべての希望を叶えようとすれば、予算が膨れあがります。
そこで考えておきたいのが、「何をどこまでするのか」優先順位を決めておくことです。 

まずは「間取りをすべて変えたい」「アイランドキッチンにしたい」など、カタチにしたいことをリストアップします。
そのうえで家族が強く希望している項目など、譲れない部分や好みの素材や住宅設備のグレードなどを決めておくと良いでしょう。
もし、予算オーバーしそうなときは、優先度の低い箇所を省くことができます。

事前に建物診断をしてもらう

「想定外の修繕」に関しては、建物の構造を十分に理解している施工会社にお願いして、物件の劣化状況、欠陥の有無、改修すべき箇所を見極めてもらうことが大切です。
その場合、担当者の経験から判断してもらうのではなく、専門知識・技能を有する住宅診断士(ホームインスペクター)や設計士に建物診断を依頼するのが大事なポイントです。

もし、築年数が経過し耐震性に不安がある場合は、耐震診断士に耐震診断をしてもらいましょう。
専門家にくまなく調査してもらうことで、どのような修繕や補強をすればよいか見通しが立ち、予算の検討もつけられます。

実際に暮らしてみてわかったよくある失敗例とは?

リノベーションでは、「家族が集いやすい広いリビングにしたい」「キッチンは、アイランドにしたい」などの要望を、図面やパース(立体的なイメージ図)をもとに想像しながらカタチにしていきます。
しかし、そこで起こりがちなのが、実際に住んでみてからの後悔です。

例えば・・・

  • 実際に暮らしてみたら、キッチンから洗面や浴室までの家事動線が悪かった。
  • アイランドキッチンにしたら、リビングが狭くなってしまった。
  • 思っていたより、収納スペースが足りなかった。
  • コンセントの数が足りない。コンセントの場所が悪かった。
  • 屋根裏やロフトに収納スペースを設けたが、階段の上り下りが面倒で使わなくなった。
  • 間仕切りを多く設けたら、家族の交流する機会が減った。
  • 広々としたリビングにしたら、冷暖房の効きが悪くなってしまった。
  • 家具や家電が大きすぎてうまく使えない。

要望通りの間取りにしたにも関わらず、思わぬ結果を招いてしまうことも良くあるケースです。

イメージ不足で後悔しないポイントとは?

リノベーション初心者にとって、実際の暮らしをイメージしながらのプランニングはなかなか難しいものです。

そこで少しでも理想に近づけるように、まずは見本となる間取りの事例を探すことも大切です。自分のイメージに近い間取りがあれば、それを参考に設計プランを立てて貰うことも成功する近道の一つです。

お気に入りの事例を集めつつ、優先順位を洗い出したり、ショールームに出向いて実物に触れたり、見て触って確かめながらイメージ作りすることを心がけましょう。

物件選びで後悔した失敗例とは?

中古戸建て、中古マンションともに失敗例としては、リノベーションに不向きな物件を選んでしまったケースがあげられます。

実は建物の構造によっては、自由な間取り変更ができない物件があります。
そのことを知らない状態、またはチェック不足で購入したことで、イメージした間取りができなかったというケースがあります。

また築年数の経った格安物件を選んだことで、耐震基準を満たせず補強工事が必要になったり、住宅ローン控除のために用意しないといけない書類等が増えたりと手間がかかったケースがあります。

物件選びで後悔しないポイントとは?

中古戸建ての場合

構造を確認する

木造軸組工法であれば、柱や梁などの軸で支える構造のため、壁を壊しての間取り変更が可能です。特に注意が必要なのが、プレハブ工法・ツーバイフォー工法・軽量鉄骨造です。

中古戸建ての構造 構造の説明
ツーバイフォー工法 角材と合板を組み合わせて面で建物を支えます。
プレハブ工法 工場で生産された壁や床、天井を組み立てる工法です。

いずれも構造上、壊せない壁があるため、大幅な間取り変更が難しくなります。

築年数を確認する

旧耐震基準の建物 新耐震基準の建物
確認申請承認日(建築確認日) 1981年(昭和56年)5月31日まで 1981年(昭和56年)6月1日以降

1981年に「新耐震基準」が設けられたことで、それ以前に建てられた物件は「旧耐震基準」が適用され、耐震補強工事が必要になる可能性があります。「安いから」という理由で古すぎる木造住宅を選ぶのは要注意です。
なお、耐震性に問題がなくても、地盤の問題で建物が傾斜している場合があることも知っておきましょう。

そこで不動産業者に「耐震診断書」の有無を確認しておくこと。もし、木造住宅で「耐震診断書」がない場合、専門家に耐震診断をしてもらいましょう

中古マンションの場合

構造を確認する

マンションの構造には、「ラーメン構造」と「壁式構造」の2タイプに分かれます。
壁を取り払って間取りを大きく変更をしたいのなら、ラーメン構造が適しています。壁式構造では、構造の一部である壁には手を付けることができません。間取りはそのままで、空間のイメージを変える部分的なリノベーションとなります。

管理規約・配管経路を確認する

マンションによっては、管理規約でリノベーションが制限されているケースがあります。
例えば間取りの大幅な変更がダメだったり、水回りの移動が不可だったり、フローリングの設置不可(床材はカーペットのみ)などがあります。

管理規約に制限があると、室内イメージの変更や設備の取り替え程度となり、リノベーションプランに影響するので、事前に確認しておきましょう。

もう一点は、配管経路の確認です。配管経路には、「床スラブ上配管」と「床スラブ貫通配管」の2タイプが存在します。
「床スラブ上配管」であれば、排水管が構造躯体コンクリートである床スラブの上を通っているため位置の変更ができます。

「床スラブ貫通配管」では、排水管が構造躯体コンクリートである床スラブを貫通してキッチンなどと繋がっているため、水回りの移動がほとんどできません。
ただし、トイレは配管方式に関係なく位置が移動できないケースが多いため、注意しましょう。

配管経路 変更可能かどうか
床スラブ上配管 配管経路の位置の変更可能
床スラブ貫通配管 キッチンなどと繋がっているため、水回りの移動は不可

専門家に同行してもらう

戸建て、マンションともに物件選びは、一般の方が見極めするのに限界があります。
やはり設計士などのプロに同行してもらい、総合的に判断してもらうことをおすすめします。

施工会社選びでよくある失敗例とは?

新築はできても、リノベーションはできない。または設備機器を交換するレベルのリフォームしかやったことがないという業者も少なくありません。
経験・実績不足の施工会社だと、要望をくみ取るスキルに乏しく、デザイン・間取りにうまく取り入れることができない可能性が高くなります。

少人数の施工会社であれば、あらゆる工程を兼任することもあり、一つひとつの工程に対する負担が増えます。
結果、やりっぱなしの施工や、施工中のミスが起きやすくなることも。さらに人手が足りないため、点検やアフターフォローまで手がまわらない傾向にあります。

失敗・後悔しない施工会社の選び方4つのポイント!

リノベーション工事で後悔しないためにも、安心して任せられる施工会社を選ぶことが大切です。そこでどのような基準があれば良いかについて解説いたします。

専門スキルが高いスタッフがいる

リノベーションでは新築を建てるより、複雑な知識や経験、ノウハウが求められます。同時に注文住宅のように、施主側のオーダーをまとめ上げるスキルも必要になります。
理想は注文住宅の実績が豊富で、それぞれの工程において、専門性の高いプロが担当してくれる会社を選ぶのがおすすめです。

理想のライフスタイルをカタチできる提案力がある

設計自由度が高い分、間取りやデザインなどへの要望を具体的なカタチにするのが大変です。
関わりのあるご家族様の新しい暮らしへの想いをくみ取りつつ、プラスαの提案ができる施工会社がおすすめです。

一つの目安としては、営業スタッフをはじめ、熟練したプロのリフォームアドバイザーやインテリアコーディネーター、社内建築家が在籍している。
つまり、トータルで取り組む体制が整っている施工会社が理想的です。

物件探しや資金計画から施工まで、トータルサポートがある

リノベーションでは、改修工事をすれば良いというものではありません。
中古物件を購入して手を加えることもあれば、実現可能な資金計画を立てる必要もあります。

そこで選びたいのが、物件探しから資金計画、施工までトータルでサポートしてくれる施工会社です。
不動産のプロが在籍、または不動産部門があり、資金相談から住宅ローンの審査までサポートしてくれる施工会社であれば、一か所で相談できるので安心です。

アフターフォローや保証がしっかりしている

リノベーションでは、大がかりな工事をするために、施工後の保証・フォロー体制も重要になります。
また、その後の小さな修理やリフォームも含め、相談のしやすさも含めると保証が整っているだけでなく、すばやく対応してくれる地域密着型の大きな工務店がおすすめです。

まとめ

リノベーションにおける後悔や失敗は、費用や物件選び、業者、間取りなどのあらゆる面から起こります。
そこで、さまざまな失敗例と成功させるポイントを事前に知っておくことは、これから進める理想のリノベーションにとって重要です。

だからこそ積極的に情報を集めて、自分ならどうすべきかを想定しておくこと。
さらに実績豊富なリノベーションのプロからの意見・アドバイスにも耳を傾けることも忘れてはなりません。
そうした努力を積み重ねることで、後悔のないリノベーションへと近づくことができるでしょう。

【監修スタッフ】

無垢スタイルのリノベリフォーム 立石英之

耐震技術認定者 / 増改築相談員 / 既存住宅アドバイザー / 雨漏り診断士 / 外壁診断士

一戸建て、マンション、店舗などリノベーション専門の建築家とコンサルタントと一緒にデザインとコストを意識しながら理想の暮らしを実現していきます。また、中古住宅を購入してリノベーションでは、中古住宅探しからお手伝いをさせていただきます。このスタッフのブログを見る

Articles

×